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これまでに多くの受験生を困らせてきた英語ですが、英語習得の難しさをできるだけ具体的に述べてまいりたいと思います。 | |||
#大学で第二外国語を勉強して初めて気づくことだが、ドイツ語、ギリシャ語、ラテン語などを語源とし、フランス語から語彙を大量に借用している。他の言語(フランス語・ドイツ語・スペイン語など)があってこその英語なのに、意地を張らないでほしい。 | |||
#品詞の区別がしづらい。workを例に挙げると、名詞のときと動詞のときとがある。フランス語なら名詞le travail(ル・トラヴァイユ、仕事)と動詞travailler(トラヴァイエ、働く)、ドイツ語でも名詞die Arbeit(ディー・アルバイトゥ)と動詞arbeiten(アルバイテン)のように区別されている。動詞の不定形をto doのようにして無理やり動詞を二つ以上つなげられるようにしているだけでは? | |||
# | #動詞の語尾が一定しない。上で挙げたwork以外に、study, walk, run, cut, moveなど、(ふだん名詞として認識されている)あらゆる単語が動詞になりうる。これについても、フランス語なら動詞の不定形の語尾は-er, -ir, -reのいずれかで、ドイツ語に至っては(sein(ザイン, 英語のbeにあたる)以外は)動詞の不定形の語尾が必ず-enである。 | ||
# | #動詞の不定形がto doだと前置詞のtoとまぎらわしいうえ、この形で名詞的用法・形容詞的用法・副詞的用法の三つになりうる(どれかは文脈で判断しなければならない)。以下のような中学レベルの英文でも、同じto study Englishで意味が異なる。フランス語やドイツ語なら動詞の不定形の前に直接前置詞を置けるのに。 | ||
# | #*I like to study English. (私は英語を勉強する'''こと'''が好きです。) | ||
# | #*This is the class to study English. (英語を勉強する'''ための'''クラスです。) | ||
#* | #*He came here to study English. (彼は英語を勉強する'''ために'''ここに来た。) | ||
#* | #単語ごとにいちいち発音を覚えなければならない。固有名詞なんかどのように発音すればよいのかわからない。日本語の場合は読みがな、中国語の場合はピンインがあるが、英語の文章で固有名詞や専門用語に発音記号を書いてくれることなんてほとんどない。(フランス語を勉強しているなら専門用語の意味・発音を察することは難しくないが...) | ||
#* | #*[https://ja.wikipedia.org/wiki/Ghoti Ghotiと書いてfishと読む。]womenをウィメンと読めないのも無理ない。 | ||
# | #*英単語の読みを間違えて先生に注意されても、フランス語やドイツ語を知らない高校生は黙るしかない。例えば、He said so.のsaidをセイドゥと読んで「セイドゥって読まない!」と注意されてもセッドゥと読み直すしかない。もしフランス語やドイツ語を知っていたら「どうしてglobe(地球儀)はグロウブなのにgloveはグロウヴではなくグラヴなのですか!」と反論するはず。 | ||
#*'''なぜウムラウトやアクセント記号を用いないのだろう。'''ローマ字読みが99%通用しない(Nameをドイツ語読みするとナーメ)こと及び、前述の「単語ごとにいちいち発音を覚えなければならない」の元凶はこれに違いない。もっとフランス語・ドイツ語・スペイン語などが普及していたら、(発音規則だけでなく)この世界全体がどんなに合理的になるだろう... | |||
#*英語の発音規則の複雑さが原因で、大学で第二外国語に慣れられず単位を落とす学生がどれほどいることだろう。(もっとも、フランス語やドイツ語を勉強する際にも英文法の知識が基本となるのだが...) | |||
#英検準一級・一級レベルになると、接頭辞・語根・接尾辞から意味を察することのできない単語まで覚えなければならない(大学入試の攻略法として有名な、わからない単語の意味を推測する、という方法は通用しなくなる)。もちろん、発音もその都度覚えなければならない。発音規則が一定しているフランス語のほうがまし。ドイツ語に至っては複合語だらけなので格段に覚えやすいそうです。 | |||
#(直接法だけでも)12もの時制がある。過去・現在・未来、過去進行・現在進行・未来進行、過去完了・現在完了・未来完了、過去完了進行・現在完了進行・未来完了進行。フランス語なら現在・半過去・(単純過去)・単純未来・複合過去・大過去・(前過去)・前未来の8時制(単純過去・前過去は堅い文章でしか用いられないので実際には6時制)、時制が複雑といわれるスペイン語でも現在・点過去・線過去・未来・過去未来・現在完了・過去完了・未来完了・過去未来完了の9時制。特に現在形と現在進行形の使い分けはややこしい(センター試験でもねらわれる)。現在進行形にできない動詞もある(I live in Japan.をI'm living in Japan.とするのは間違い)。 | |||
#丸暗記しなければならない(実際の意味が直訳とかけ離れた)イディオム(成語表現)が多すぎる。発音と同様にややこしい。 | |||
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2018年3月30日 (金) 21:52時点における版
これまでに多くの受験生を困らせてきた英語ですが、英語習得の難しさをできるだけ具体的に述べてまいりたいと思います。
- 大学で第二外国語を勉強して初めて気づくことだが、ドイツ語、ギリシャ語、ラテン語などを語源とし、フランス語から語彙を大量に借用している。他の言語(フランス語・ドイツ語・スペイン語など)があってこその英語なのに、意地を張らないでほしい。
- 品詞の区別がしづらい。workを例に挙げると、名詞のときと動詞のときとがある。フランス語なら名詞le travail(ル・トラヴァイユ、仕事)と動詞travailler(トラヴァイエ、働く)、ドイツ語でも名詞die Arbeit(ディー・アルバイトゥ)と動詞arbeiten(アルバイテン)のように区別されている。動詞の不定形をto doのようにして無理やり動詞を二つ以上つなげられるようにしているだけでは?
- 動詞の語尾が一定しない。上で挙げたwork以外に、study, walk, run, cut, moveなど、(ふだん名詞として認識されている)あらゆる単語が動詞になりうる。これについても、フランス語なら動詞の不定形の語尾は-er, -ir, -reのいずれかで、ドイツ語に至っては(sein(ザイン, 英語のbeにあたる)以外は)動詞の不定形の語尾が必ず-enである。
- 動詞の不定形がto doだと前置詞のtoとまぎらわしいうえ、この形で名詞的用法・形容詞的用法・副詞的用法の三つになりうる(どれかは文脈で判断しなければならない)。以下のような中学レベルの英文でも、同じto study Englishで意味が異なる。フランス語やドイツ語なら動詞の不定形の前に直接前置詞を置けるのに。
- I like to study English. (私は英語を勉強することが好きです。)
- This is the class to study English. (英語を勉強するためのクラスです。)
- He came here to study English. (彼は英語を勉強するためにここに来た。)
- 単語ごとにいちいち発音を覚えなければならない。固有名詞なんかどのように発音すればよいのかわからない。日本語の場合は読みがな、中国語の場合はピンインがあるが、英語の文章で固有名詞や専門用語に発音記号を書いてくれることなんてほとんどない。(フランス語を勉強しているなら専門用語の意味・発音を察することは難しくないが...)
- Ghotiと書いてfishと読む。womenをウィメンと読めないのも無理ない。
- 英単語の読みを間違えて先生に注意されても、フランス語やドイツ語を知らない高校生は黙るしかない。例えば、He said so.のsaidをセイドゥと読んで「セイドゥって読まない!」と注意されてもセッドゥと読み直すしかない。もしフランス語やドイツ語を知っていたら「どうしてglobe(地球儀)はグロウブなのにgloveはグロウヴではなくグラヴなのですか!」と反論するはず。
- なぜウムラウトやアクセント記号を用いないのだろう。ローマ字読みが99%通用しない(Nameをドイツ語読みするとナーメ)こと及び、前述の「単語ごとにいちいち発音を覚えなければならない」の元凶はこれに違いない。もっとフランス語・ドイツ語・スペイン語などが普及していたら、(発音規則だけでなく)この世界全体がどんなに合理的になるだろう...
- 英語の発音規則の複雑さが原因で、大学で第二外国語に慣れられず単位を落とす学生がどれほどいることだろう。(もっとも、フランス語やドイツ語を勉強する際にも英文法の知識が基本となるのだが...)
- 英検準一級・一級レベルになると、接頭辞・語根・接尾辞から意味を察することのできない単語まで覚えなければならない(大学入試の攻略法として有名な、わからない単語の意味を推測する、という方法は通用しなくなる)。もちろん、発音もその都度覚えなければならない。発音規則が一定しているフランス語のほうがまし。ドイツ語に至っては複合語だらけなので格段に覚えやすいそうです。
- (直接法だけでも)12もの時制がある。過去・現在・未来、過去進行・現在進行・未来進行、過去完了・現在完了・未来完了、過去完了進行・現在完了進行・未来完了進行。フランス語なら現在・半過去・(単純過去)・単純未来・複合過去・大過去・(前過去)・前未来の8時制(単純過去・前過去は堅い文章でしか用いられないので実際には6時制)、時制が複雑といわれるスペイン語でも現在・点過去・線過去・未来・過去未来・現在完了・過去完了・未来完了・過去未来完了の9時制。特に現在形と現在進行形の使い分けはややこしい(センター試験でもねらわれる)。現在進行形にできない動詞もある(I live in Japan.をI'm living in Japan.とするのは間違い)。
- 丸暗記しなければならない(実際の意味が直訳とかけ離れた)イディオム(成語表現)が多すぎる。発音と同様にややこしい。