物質

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元素単体

化合物

有機化合物

  1. 一般的には炭素を含むものという認識だが、炭素を含んでもそれにならないものも多くある。
    • 炭素単体、一酸化炭素、二酸化炭素、炭酸塩、シアン化水素、シアン化塩がそれにあたる。
  2. 燃やすと二酸化炭素が出る。その時のエネルギーがあまりにも大きいので、「燃えるもの」とされている。
    • ただし、あまり火力が強くないとすす(炭素)だけ残ることも。
  3. 一般的に非金属と金属の化合物はイオン性化合物となる。有機化合物も同様のものも多いが、共有結合性化合物も多くある。
    • 有機金属と錯体が挙げられる。前者は水と激しく反応する。

炭化水素類

  1. どんな結合を持つかで名前が変わる。
    • メタン、エタン、プロパン、ブタン…など二重結合のないアルカン
    • エチレン、プロピレン、ブテン…など二重結合を持つアルケン
    • アセチレン、ブチン、ペンチン…など三重結合を持つアルキン
  2. これらを燃やす(酸素と反応させる)と二酸化炭素と水が生成する。
    • このとき発生する熱があまりに大きいものだから燃料として使われる場合が多い。
  3. 炭素数が増えるほど重いため蒸発しにくくなり、結果沸点や融点が下がる。
    • 枝分かれがあると分子が整列しにくくなるので、さらにこれらが下がる。

メタン

  1. 炭化水素の中で一番軽いもの。(同じモル数で比較すると)燃やしたときの二酸化炭素も一番少ない。
  2. 気体で燃料としても活用されている。
  3. 微生物により有機物が分解されるとこれができる。池の底のヘドロなどにたまっており、傘などで突っつけば泡になって出てくることも。
  4. 最近は海底にこれが凍ったものとしてメタンハイドレートが注目されている。

エステル

  1. アルコールとカルボン酸がくっついたもの。
    • (結合の種類が違いので正確には違うが)カルボン酸のアルコール塩のような構造をしている。実際カルボン酸塩とハロゲン化アルキルを反応させるとこれができる。
  2. 有名な合成法はアルコールとカルボン酸を混ぜて硫酸で脱水するものだが、上記のようにカルボン酸塩を用いるものやカルボン酸塩化物・酸無水物などを用いるものもある。
  3. いい匂いのするものが多い。もととなるカルボン酸が変なにおいでも、それが嘘だったかのようになる。
  4. いわゆる脂肪は炭素数の多いカルボン酸とグリセリンのエステルである。
  5. 逆に酸性水溶液で処理すればアルコールとカルボン酸に戻る。水酸化ナトリウムと反応させるとよく反応して分解する。これを「けん化」といい、せっけんを作る反応である。

酢酸エチル

  1. おそらく一番メジャーなエステル。
  2. 有機溶媒として、色々な有機化合物を溶かすのに用いられる。
    • 水溶するものとしないものに分けて分離操作をするとき、水と一緒に使うことも多い。
  3. アルコール由来のエチル基にある1つの水素を臭素にしたブロモ酢酸エチルはWittig反応の原料として用いられるが、催涙性がある。

アミド

  1. こちらはカルボン酸とアミンがくっついたもの。
  2. 同じくカルボン酸とアミンを硫酸で脱水するものやカルボン酸塩化物、酸無水物を使って合成する方法もある。
  3. アミド結合は生体分子のときのみ「ペプチド結合」と呼ぶ。

アルコール

  1. 炭化水素の水素がヒドロキシ基(-OH)に置き換わったもの。
    • も-OHが付いているが、アルコールには分類しない。
  2. 日常生活ではアルコールというと主にエタノール、特に酒類のことをさす。
  3. ヒドロキシ基が1つのものがメジャーだが、それ以上あるものも多く存在する。
  4. 酸化するといろいろなものに変化する。
    • 1級アルコールはアルデヒドを経てカルボン酸に、2級アルコールはケトン(過酸や過マンガン酸カリウムなどでエステルにもなる)に、3級アルコールは酸化してしまうと炭素骨格がバラバラになる。
  5. ナトリウムやその水素化塩で水素を解離してアルコキシドになる。
    • 水酸化ナトリウムでも解離できないことはないが、解離しやすさは水とほぼ同じなので、効率が悪い。
  6. 解離しやすさが水とほぼ同じなので、水に溶かしておけばヒドロキシ基の水素が激しくつけ変わる。これを利用して重水中に入れておけば重水素化されたアルコールとなる。1H-NMRでは重水素を検知しないためこれによって信号が消失するが、これがヒドロキシ基の見分け方になっている。
    • ただし、フッ素をつけるなどするといわゆる酸と同じ解離のしやすさを持つようになる。
  7. 反応してエーテルやエステルなどになる。
  8. 下記の糖もアルコールの1種である。
  9. ヒドロキシ基を多く持つポリオールと金属微粒子を混ぜておくと酸化抑止の効果を持つ。これを用いて安定でない化合物の微粒子を合成できる(ポリオール法)。

メタノール

  1. 一番小さいアルコール。
  2. 体には危険で、これを飲むと視神経がやられ失明する。大量に飲むと死ぬ。
    • 昔、エタノールの中にこれが混ざっており、酒を飲んで失明する人が多かったんだとか。
  3. 1級アルコールを最後まで酸化してできるカルボン酸に対応するものがギ酸である。ギ酸はアルデヒドでもあるのでさらに酸化して炭酸になる。しかし炭酸は不安定なので二酸化炭素と水に分解する。

エタノール

  1. アルコールと聞いて一番連想しやすいもの。
  2. 消毒液としても有用で、新型コロナウィルス関連で話題となった。
    • 酒類提供業者が極限まで濃縮したアルコールを消毒用として販売していた。
  3. アルコキシド塩もメジャーで、アルドール反応などによく使われる。

エチレングリコール

  1. ヒドロキシ基を2つもつアルコール。
  2. 車の不凍液に使われている。

グリセリン

  1. ヒドロキシ基を3つもつアルコール。
  2. 炭素数の多いカルボン酸とエステルを作ったものがいわゆる脂肪である。
  3. 硝酸を用い硝酸エステルを作ってできるのが、あのニトログリセリンである。
    • 爆薬が有名だが、服用すると分解してできる一酸化窒素が血管を広げるため、狭心症にも効果がある。

アルデヒド

  1. 一酸化炭素の片方に水素が付いた官能基(アルデヒド基)を持つ有機化合物。
    • 実際、一酸化炭素からアルデヒドを合成する工業的製法が確立している。
  2. 1級アルコールの酸化で得られるが、これを得られる酸化剤(デス・マーティン・ペルヨージナンや二クロム酸カリウムなど)とそうでないもの(過マンガン酸カリウムなど)がある。
    • ここで止められない酸化剤を用いるとカルボン酸を生成する。
  3. 還元性が強く、別のものを還元する代わり、自身はカルボン酸になる。
  4. 1級アミンと反応させると窒素・炭素二重結合を持つイミンまたは窒素となりの炭素に炭素・炭素二重結合を持つエナミンができる。
  5. 銀鏡反応やフェーリング反応を起こし溶液の色を変える。これも自身が酸化し試薬を還元したのが原因である。

ホルムアルデヒド

  1. アルデヒドの最小単位。
  2. いわゆる「ホルマリン」はこの水溶液である。
  3. メタノールを摂取すると失明するが、それはこれが原因である。
  4. アルデヒド基以外に炭素がないのでエナミンを生成する反応が起こらない。アミンが結合しただけのアルコール止まりになる(それに水素イオンが結合したものと平衡にはなるが)。

アセトアルデヒド

  1. エタノールが酸化されると出る…つまり酒を飲むと出る。
    • 酒を飲んだ直後自分から酸っぱい匂いがしたら、それがアセトアルデヒドである。
  2. アセチル基を持つため、ヨードホルム反応を起こす。

ケトン

  1. アルデヒドは一酸化炭素の片方が水素だったが、こちらは両方に炭素鎖を持つ。
  2. おおむねアルデヒドと同じ生成法や反応をする。
    • ただし、アルコールから酸化して作る方法はアルデヒドよりずっと容易である。ケトンをさらに酸化する酸化剤はほとんどない。
  3. これ以上酸化するには過酸や過マンガン酸カリウムが必要で、それを用いるとエステルになる。

アセトン

  1. ケトンの最小単位。
  2. 水にはよく溶けるのだが、逆にこちらが多くあると水を吸収する。
    • (日本では)実験器具を洗ってくれる担当の人はいないので実験したら自分でお片付けをする必要がある。そんなとき一般的なガラス器具(容量の精密測定を目的としないもの)は洗剤とブラシで磨いた後水洗いしたのちドライヤーで乾かすのだが、これだと時間がかかってしかたない。しかし水洗いした後これで洗えば乾いた状態になる。廃液が多くなるが気にしない。
    • 手にかかると水分が失われるので注意。
    • このとき熱も吸収する(アセトンと水の蒸発熱)。かなり冷たくなる。10℃くらいまで下げられる。
  3. 炭素・酸素二重結合をもつ「ケト体」が一般的だが、ほんのわずかに炭素・酸素単結合とその隣に炭素・炭素二重結合をもつ「エノール体」が存在する。エノール体はフェノールのような高度に安定化した分子でなければ存在しない(フェノールはケト体では不安定ではないもののエノール体が極めて安定なためほとんどない)。また、強塩基でエノール体の酸素に負電荷をもつイオン(エノラートイオン)を形成できる。
    • エノラートイオンも酸素と反応する例はほとんどなく、二重結合を持つ炭素と反応する(アルドール反応など)。

カルボン酸

  1. 一般的に有機化合物は中性(というか水に溶けない)だが、こちらは水にわずかに溶けて酸性を示す。
    • もちろん、塩基性物質と中和反応も起こす。
  2. カルボキシル基以外についているもので酸性度は上下するが、一般的にはフェノールや炭酸より強い酸である。
    • 従って炭酸塩を入れておけば二酸化炭素を生じて塩となり水溶する。また、フェノキシド塩に高圧二酸化炭素と触れされるとカルボン酸とフェノキシド塩の部分が同一分子上に現れるが、この理由により水素と金属イオンを交換する。

ギ酸

  1. カルボン酸の最小単位。
  2. カルボン酸でもあるがアルデヒドでもあるので、還元性をもつ。
  3. 文字通りの毒に含まれている。

酢酸

  1. 2番目に小さい酸。酢の主成分。

アミン

  1. アンモニアの一部水素を炭素鎖にしたもの。アルコールと同様炭素鎖の個数で1-3級に分けられる。
    • 4級もあるが、これはアンモニウムイオンとなり、塩を形成する。
  2. 窒素原子の不対電子により塩基性を示す。

有機金属

  1. 有機化学で生態系有機分子と並んでホットなテーマ。
  2. 最近はノーベル化学賞にもなった鈴木・宮浦カップリングに続いてパラジウムを使うものが人気。
  3. 金属と化合する有機分子の部分からしてイオン性になりそうだが、共有結合性のものも多くある。
    • 有機合成に使うのはこの共有結合性化合物のみ。
  4. 結合様式はどうであれ、水と激しく反応して有機分子と金属水酸化物が得られる。
  5. うち、アルキルリチウムとアルキルアルミニウムは危険物第3類(禁水性・自然発火性)となっている。
  6. 一般的にはその有機金属を他の有機物と反応させて炭素鎖同士をつなげるのが目的である。しかし合成中にできた有機金属と原料が反応して意図しないものができてしまうこともある。
    • 目的物が酸や塩基であるなら簡単な試薬で分離できるが、それ以外だと蒸留したり色々必要になってくる。
  7. ポルフィリンやクロロフィルなど、錯体とされるものは比較的安定である。
    • 一般的な有機金属は金属と有機分子の部分が1対1に結合しているが、この化合物は金属が有機分子に囲まれ多くの結合を作っている。

アルキルリチウム

  1. ハロゲン化炭化水素と金属リチウムを反応させるとできる。
  2. メジャーなのはブチルリチウム。

グリニャール試薬

  1. 上記・アルキルリチウムとマグネシウム塩を反応させたり、ハロゲン化アルキルを金属マグネシウムと反応させるとできる液体。
    • 後者の方法が一般的だが反応させづらい。ただ試薬を混ぜるだけでは不十分で、加熱を要する。しかし一度反応が始まればあとはスムーズに進む。
  2. やはり水とは激しく反応する、つまり水を吸収して使い物にならなくなるので、合成から反応まで水が入らないよう配慮する必要がある。
    • 具体的には吸湿剤の塩化カルシウムを詰めたガラス管を接続したり溶媒の水分を極限まで減らしたりする(ナトリウムで吸水や蒸留したり保管に気をつけたりする)。
  3. 溶媒としてはエーテルが一般的。
  4. 各種カルボニル化合物と反応して炭素鎖を形成し、アルコールになる(ケトン・アルデヒド以外は中間体としてそれらができるがそこで止まらず2つ炭素鎖が結合する)。
  5. 二酸化炭素と反応させるとカルボン酸塩になる。
    • この試薬に二酸化炭素を吹き込んでもよいが、一般的にはドライアイスにこの試薬を加える。
  6. ニトリルと反応させるとアミンにもなる。

生体分子

糖類

  1. ヒドロキシ基の向きが異なる(光学異性体)だけで分子式やその基本単位は同じ。6つ炭素があるタイプのものはこんな感じ。
    • 1つだけのときを単糖類といい、分子式はC6H12O6
    • 2つのときを二糖類といい、分子式はC12H22O11
    • これ以上くっついた状態ものを多糖類といい、分子式はC6nH12nO6n
  2. DNAを構成するものなんかは炭素が5つだけのものもある。
  3. 比較的簡単に輪を作ったり壊したりできる。
    • 端のアルデヒド基による。これを酸化還元すると輪を作れなくなる。酸化還元も簡単にでき、酸化は臭素でできる。
  4. オクラやなめこのネバネバは多糖類によるもの。

アミノ酸

  1. 定義だとアミノ基を持つカルボン酸であるが、主なものは生体内の20種である。
  2. グリシンを除きアミノ基とカルボキシル基を結合する炭素は不斉炭素原子になっており、キラルである。
    • 生体内にあるのはS(L)体である。
    • 一部のアミノ酸はさらにもう1つ不斉炭素原子を持つ。
  3. 当然アミドにもなり(ペプチドという)、それが高分子になることもある。
  4. 体内で作れるものとそうでないものがある。後者は食品など外部からの摂取が必要ということで「必須アミノ酸」と呼ぶ。

グルタミン酸

  1. 「うま味」というと「おいしさ」のようで、色々なものが当てはまりそうだが、味覚上の定義ではこの物質のことをさすらしい。
    • 昆布のうま味のもと(グルタミン酸ナトリウム)が由来。これを発見し調味料にまでしたのが、かの「味の素」である。
  2. 納豆のネバネバはこの重合体による。

メチオニン

  1. 側鎖に硫黄を持つアミノ酸は2つあるが、その1つである。
  2. DNAを翻訳するとアミノ酸の列になるが、必ずこれから始まる(というかこれを形成するRNA配列がスタートの合図として認識される)。

システイン

  1. こちらも硫黄を持つアミノ酸だが、チオール基(-SH)を持つ。
  2. チオール基の酸化によってジスルフィド結合ができ、それがタンパク質の構造に影響することも。

  1. 「しお」ではなく「えん」と読む。
  2. 酸由来の陰イオンと塩基由来の陽イオンがイオン結合した化合物の名称。
    • ちなみに酸(H+)と塩基(OH-)は中和して(H2O)となるらしい。
  3. 水溶性のものから不溶性のものまで様々。
    • 不溶性の塩で有名なのは硫酸バリウム(胃の造影剤として飲まされるあれ)。