英語そのものに言いたい

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これまでに多くの受験生を困らせてきた英語ですが、英語習得の難しさをできるだけ具体的に述べてまいりたいと思います。

  1. 大学で第二外国語を勉強して初めて気づくことだが、ドイツ語、ギリシャ語、ラテン語などを語源とし、フランス語から語彙を大量に借用している。他の言語(フランス語・ドイツ語・スペイン語など)があってこその英語なのに、意地を張らないでほしい。
  2. 品詞の区別がしづらい。workを例に挙げると、名詞のときと動詞のときとがある。
    • フランス語なら名詞le travail(ル・トラヴァイユ、仕事)と動詞travailler(トラヴァイエ、働く)、ドイツ語でも名詞die Arbeit(ディー・アルバイトゥ)と動詞arbeiten(アルバイテン)のように区別されている。動詞の不定形をto doのようにして無理やり動詞を二つ以上つなげられるようにしているだけでは?
    • ドイツ語に至っては名詞は必ず大文字で始まる。
    • 英語には、思わぬ意味を持つ語がある。普通に考えれば名詞(形容詞)である語が動詞としての意味を持ったり、形容詞がそのままのスペルで副詞になったりすることがある。
      • 大学入試で文系・理系を問わず英語が課されるのは、文脈判断の能力を問うためでは?
    • 英単語を覚える際には、スペル・品詞・発音・強勢の位置の四つを同時に暗記しなければならない。10年学んでも20年学んでも英語をネイティブ並みに使うのが難しいのもよく理解できる。
  3. 動詞の不定形の語尾が一定しない。上で挙げたwork以外に、study, walk, run, cut, moveなど、(名詞にもなりうる)あらゆる単語が動詞になりうる。
    • これについても、フランス語なら動詞の不定形の語尾は-er, -ir, -reのいずれかで、ドイツ語に至っては(sein(ザイン, 英語のbeにあたる)以外は)動詞の不定形の語尾が必ず-enである。
  4. 動詞の不定形がto doなので前置詞のtoとまぎらわしい(look forward to doing「~するのを楽しみに待つ」やbe used to doing「~するのに慣れている」などが代表例)うえ、この形で名詞的用法・形容詞的用法・副詞的用法の三つになりうる(どれかは文脈で判断しなければならない)。
    • 以下のような中学レベルの英文でも、同じto study Englishで意味が異なる。フランス語やドイツ語なら動詞の不定形の前に直接前置詞を置けるのに。
      • I like to study English. (私は英語を勉強することが好きです。)
      • This is the class to study English. (英語を勉強するためのクラスです。)
      • He came here to study English. (彼は英語を勉強するためにここに来た。)
    • be used to do「~するのに使われる」、be used to doing「~するのに慣れている」、used to do「かつて~した」。受験生泣かせのまぎらわしいイディオム(後述)の御三家。
  5. 単語ごとにいちいち発音を覚えなければならない。固有名詞なんかどのように発音すればよいのかわからない。
    • 日本語の場合は読みがな、中国語の場合はピンインがあるが、英語の文章で固有名詞や専門用語に発音記号を書いてくれることなんてほとんどない。(フランス語を勉強しているなら専門用語の意味・発音を察することは難しくないが...)
    • Ghotiと書いてfishと読む。 womenをウィメンと読めないのも無理ない。
    • なぜウムラウトやアクセント記号を用いないのだろう。ローマ字読みが99%通用しない(Nameをドイツ語読みするとナーメ)こと及び、前述の「単語ごとにいちいち発音を覚えなければならない」の元凶はこれに違いない。
      • もっとフランス語・ドイツ語・スペイン語などが普及していたら、(発音規則だけでなく)この世界全体がどんなに合理的になるだろう...
    • 英語の発音規則の複雑さに慣れてしまった(というより慣れさせられた)ことが原因で、大学で第二外国語に慣れられず単位を落として留年する学生がどれほどいることだろう。(もっとも、フランス語やドイツ語を勉強する際にも英文法の知識が基本となるのだが...)
    • 発音規則を網羅しようとすると、それだけで本が一冊できてしまうレベルかもしれない。
      • 発音規則を覚えても、大学入試センター試験の第一問などでは例外がねらわれやすいのであまり意味がない。
        • オウとオーの区別(boneとbornなど)すら気にしなければならない。
    • どうしてhaveはハブなのにbehaveはビヘイブで、knowはノウなのにknowledgeはナレッジで、globe(地球儀)はグロウブなのにglove(手袋)はグラブなのだろう。
    • 初見の英単語を読めとおっしゃいましても、英語の発音規則は複雑かつ不確実なため、対応いたしかねます。
  6. 英検準一級・一級レベルになると、接頭辞・語根・接尾辞から意味を察することのできない単語まで覚えなければならない(大学入試の攻略法として有名な、わからない単語の意味を推測する、という方法は通用しなくなる)。
    • もちろん、発音もその都度覚えなければならない。
      • 発音規則が一定しているフランス語のほうがまし。ドイツ語に至っては複合語だらけなので格段に覚えやすいそうです。
  7. 「三人称単数現在形」の概念を中学一年のすべての生徒が難なく理解できると思っているのか。
    • 主語の人称によって動詞が最大で6通りに活用するフランス語・ドイツ語・スペイン語のほうが、一人称・二人称・三人称の概念を理解しやすいのでは?
    • 仏語のil/elle, 独語のer/sie/es, 西語のél/ellaが主語のときだけ、なぜsがつくのだろう。ほかはすべて同じなのに。
    • 高校の定期テストでも、She don't understand what I tell her. (正しくはShe doesn't understand (略))のように、中学一年で習うようなことでミスをしてしまうことがある。
  8. 過去形や助動詞を伴うときは、SVOのVの部分が主語の人称にかかわらず同じ形なので、長文を読むときはややこしい(主語がわかりにくい)。
    • He reads the book.なら現在、He read the book.なら過去。
  9. (直説法だけでも)12もの時制がある。過去・現在・未来、過去進行・現在進行・未来進行、過去完了・現在完了・未来完了、過去完了進行・現在完了進行・未来完了進行。
    • フランス語なら現在・半過去・(単純過去)・単純未来・複合過去・大過去・(前過去)・前未来の8時制(単純過去・前過去は堅い文章でしか用いられないので実際には6時制)。
    • 時制が複雑といわれるスペイン語でも現在・点過去・線過去・未来・過去未来・現在完了・過去完了・未来完了・過去未来完了の9時制。
    • 特に現在形と現在進行形の使い分けはややこしい(センター試験でもねらわれる)。現在進行形にできない動詞もある(I live in Japan.をI'm living in Japan.とするのは間違い)。
  10. 丸暗記しなければならない(実際の意味が直訳とかけ離れた)イディオム(成語表現)が多すぎる。発音と同様にややこしい。learn by heartがなぜに「心から覚える」ではなく「暗記する」なのだろう。
  11. 動詞の後に動名詞を用いるか不定詞を用いるかで意味が異なる場合もあり、まぎらわしい。以下の三つが入試頻出御三家。(動名詞は過去志向、不定詞は未来志向、と覚えればそんなにまぎらわしくもないが...)
    • forget doing「(過去に~したのを忘れる)」とforget to do「(これから)~するのを忘れる」
    • remember doing「(過去に)~したのを覚えている」とremember to do「(これから)忘れずに~する」
    • regret doing「(過去に)~したのを後悔する」とregret to do「(これから)残念ながら~しなければならない」
  12. 同じスペルで発音の異なる単語がある。同じスペル・同じ発音で意味が異なる単語なら日本語やフランス語にもあるが...
    • minuteはミニットゥと読めば一分、マイニュートゥと読めば「零細な」の意味の形容詞。
  13. 動詞を覚えるたびに、その活用を覚えなければならない。フランス語やスペイン語もそうではないかと口出しされそうだが、英語の場合はlie-lay-lainやfind-found-foundなど、他の動詞の原形と同じ過去形・過去分詞になることもある。
    • wind-wound-woundとwound-wounded-wounded(前者は「巻く」、後者は「傷つける」)に至っては発音が異なるのでさらにまぎらわしい。(前者はワウンドゥ、後者はウーンドゥ)
    • フランス語なら-erで終わる動詞(aller以外)はすべて規則的な活用であり、ドイツ語に至っては助動詞になりうる動詞(sein, haben, weißenなど)を除けば二人称単数と三人称単数しか特殊な活用にならない。
      • ドイツ語の動詞は、sein(ザイン)以外はほとんど「エストテンテン」の法則に従う。不規則動詞でも母音が変わったり、発音しやすいように子音が落ちたりするだけ。
        • weißenではなくwissen(ヴィッセン, 知っている)が正しい。
  14. He's done his homework.ならhe'sはhe hasだが、He's loved by everyone.ならhe'sはhe isである。複数の意味を持ち、文脈から判断するしかない単語・縮約形がある。
    • objectは名詞としては「物体」だが、動詞としての意味もある(反対する)。ここで述べたいのは、同じスペルなのに品詞が違えば意味に差異が生じるということ。
      • 名詞のobjectはob-に強勢があるが、動詞のobjectの場合は-jectに強勢がある。いわゆる「名前動後(めいぜんどうご)」。presentやcontentも同様。
  15. 高校の世界史の教科書に出てくる用語のほとんどが英語以外の外国語。大学で第二外国語を勉強してから世界史を勉強するべきではないだろうか... さもないとカタカナ(一部日本語や中国語もあるが)を暗記するだけになってしまう。
    • 世界史だけでなく、倫理や政治経済にも英語圏以外の人物が出てくる。さらに、物理や化学などの理系科目にさえも「リービッヒ冷却器」のように明らかにドイツ人の名前だと思われるカタカナが出てくる。
    • 英語の代わりにドイツ語とフランス語を高校での必修科目にしたほうが、世界史・倫理を勉強するにも、物理・化学を勉強するにも有用ではないだろうか...